|
むかしのお話です。
篠津の須賀神社のうらあたりに、慈照院という小さなお寺がありまして年をとった尼さんがすんでおったそうです。
近くの森にすむ古狸が毎晩やってきて「慈照院はチンピロリン」といってからかったそうです。尼さんはさいしょは相手にしませんでしたが、あまり毎晩やってきては「慈照院はチンピロリン」とやりますので、なんとかこらしめねばとおもっていました。
その日は、ちょうどたき火をしていました。すると「慈照院はチンピロリン、なに持ってチンピロリン、すりこぎもってチンピロリン」と、大声でうたいながら古狸がやってきました。尼さんは、たき火の中で1番あついところを古狸の大きなお腹めがけて投げつけました。
これには、さすがの古狸も、おったまげて「あっちち……」といって、くるくるまわり、ころがりながら逃げていってしまいました。
それからは、もう二度と慈照院にはあらわれなくなったということです。
(「白岡の民話」より)
|